窓辺の緑
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窓からの光、
それは北極圏に近い地方では
とても大切な暮らしの栄養源。
昔は寒気を遮るために
窓は小さくされていたけれど、
最近は暖房設備やガラス素材の発達のおかげで
大きな窓をつくり、
たくさんの光を室内に取り入れることができる。
この重要な外部との接点は
出入りのための玄関の扉とは異なり、
開閉よりも光を取り入れる方に重点が置かれていて、
まるで映画のスクリーンのように外の光を映し出す。
そして部屋の中の心地よいソファーに座って、
いかに外の風景を眺めるかは
長い冬を部屋の中で過ごす彼らにとって
とても重要な暮らしのポイント。
窓には多くの場合
二重のガラスが張られていて、
そのすき間は10cm弱。
その小さな空間を使って、
蝋燭を並べたり、
かわいいモビールを飾ったりと
まるで店先のディスプレイのように使う人もいる。
そして人間と同じように光を浴する緑もまた、
この場所が特等席である。
庭の緑や街の風景、森を借景にした、
まるで小さな日本庭園のような空間。
フィンランドで年中緑を見るのは大変なこと。
庭仕事も冬の間はお休み。
でも、あれだけ森が好きな人たち。
家の中にも緑を!っていう気持ちは
わからなくもない。
そのため昔から、
観葉植物の輸入は盛んに行なわれてきたし、
地熱を利用するために
半分地中に埋まったグラスハウスも開発した。
いくつかの家で見たのは、
窓の下に置かれたヒーターの上に
プランターを置いている様子。
あたたかいし、光はあるしといった
抜群の場所で育てられている植物達は
とっても生き生きしていて、
部屋の中の心地よさが目に見えてわかり、
住んでいる人にも安心感を与えてくれる。
そう、部屋の心地よさの
バロメーターといった所かもしれない。
緑はとても正直。
自分達の住む環境を映し出してくれる。
ある教会に行ったとき
目の当たりにした光景は、
小さいダンボールぐらいの箱から
思いっきり手足を伸ばして
窓のある光に向かって
昇っていく緑の姿。
自分達の心地良さを求めて
一日一日、目に見えない小さな努力を重ね
その願いを実現させていく様子には、
心を打たれるばかり。
部屋の中にいて光を感じたり
緑の息を感じたりっていう感覚を得られたら、
それはとっても
心に贅沢なくらし
と言える気がする。
by scanlife
| 2004-10-19 11:16